PM2.5の発生源


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PM2.5の発生源

PM2.5の発生源 最近急に報道などで取り上げられるようになったPM2.5ですが、気になるのはその発生源です。PM2.5は目に見えないような小さな粒子だけに、どこからどのように発生しているのかがわかりにくいもの。中国の大気汚染が問題になっており、靄がかかったような中国都市部の映像がニュースなどで取り上げられていることもあって、PM2.5はすべて中国からやってくるものと思っている人もいるでしょう。もちろん偏西風に乗って中国から飛来するPM2.5も少なくはありませんが、日本にもPM2.5の発生源はたくさんあります。実際、このような問題が起こる前から、日本の都市部でもPM2.5が基準値を超えていたという人もいます。日本では高度成長期に産業が一気に進んだ半面、それに伴う排気ガスなどがきちんと規制されていなかったため大気汚染が大きな問題になりました。いわゆる四日市ぜんそくなどがその例です。その後規制が厳しくなり、排気ガスなどをきれいにする技術も進歩したことで、以前に比べるとPM2.5もずいぶん少なくなりましたが、それでもなくなったわけではありません。発生源をしっかり認識することが、削減には必要なのではないでしょうか。

人為的に発生するPM2.5

PM2.5の中でも特に問題となるのは人為的に発生するものです。人為的に発生するということは、人間が何らか活動を行った結果発生するということ。PM2.5の中にもそういった原因で発生するものが少なくありません。まず発生源として大きいのが、焼却炉やボイラーなどのばい煙を発生させる施設によるもの。PM2.5の中でも比較的多くを占めるのが有機炭素などですが、物が燃えるとどうしても炭素が発生しますし、それ以外にもさまざまな物質が放出されるためPM2.5が発生しやすくなります。また、ディーゼル車のエンジンから排出される排気ガスにも多くのPM2.5が含まれており、都市部でPM2.5の濃度が高いのは車の排気ガスが原因だという説もあるほどです。しかし、最近では日本のゴミ処理場はハイテク化が進み、環境にも配慮したものが増えていることもあって、焼却場から発生数PM2.5はかなり少なくなりつつあります。また、排気ガスなどの問題からディーゼル車自体の数も減っているため、一時期に比べるとPM2.5の排出は減っているといってもよいでしょう。 また、多くはありませんが、家庭で調理を行なったりお湯を沸かしたりするために燃料を燃やすことによってもPM2.5は発生しています。タバコの煙、とくに副流煙にPM2.5が多く含まれていることも問題になっており、喫煙者が家族にいる場合は屋内のPM2.5の濃度がかなり高くなるとのデータも発表されました。実際にタバコを吸っている人が体内に取り込む煙はフィルターを通したものですが、周囲に漂う副流煙は何のフィルターも通していないので、ニコチンやタールなどの有害な物質がそのまま含まれているのです。工場のばい煙などはあまり自分には関係していないように感じますが、家庭やタバコからも発せられていると思えばPM2.5も身近なものに感じられるはずです。


自然が発生させるPM2.5

工場や車の排ガスなど産業に関係するものばかりではなく、自然に発生するPM2.5もあります。たとえば、火山の噴火などがあると、大量の噴煙が上がりますがその中にも当然多くのPM2.5が含まれています。森林などで火災があればたくさんの木が燃えて炭化しますので、その時にもPM2.5は大量に排出されるのです。また、海水が蒸発するときにわずかに大気中に放出される成分も粒子の大きさによってはPM2.5になりますし、粒径が2.5μmを下回る物であれば花粉であってもPM2.5と呼ばれます。つまり、ある程度の量のPM2.5は自然界にも存在するのが当然であり、すべてを取り除くことはできないのです。

独立行政法人 国立環境研究所HP
独立行政法人 国立環境研究所HP

二次的に生成されるPM2.5

工場などから直接微粒子の形で放出されるPM2.5もあれば、放出された段階では気体だったものが、紫外線などの影響を受けて大気中でPM2.5に変化することもあります。これが二次的に生成されるPM2.5です。こうして二次的に生成されるPM2.5は意外と多く、実は大気中のPM2.5の6割は二次的に生成されたものだとも言われています。PM2.5に多く含まれる硫酸イオンや硝酸イオン、アンモニウムイオンの多くは二次的に生成されたものですが、どの成分が何の影響を受けてどのような物質になるのかはまだ解明されていないことが多く、PM2.5を削減するうえでは難しい問題であるのは確かです。PM2.5の半分以上を占める二次的な生成に関するメカニズムを解明することが、今後のPM2.5削減のポイントになるのではないでしょうか。