光化学スモッグとは


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光化学スモッグとは

ある程度の年齢の人ならば、「光化学スモッグ」という言葉にはなじみがあるのではないでしょうか。日本で最も大気汚染が問題となっていた1970年代には、光化学スモッグ注意報が頻繁に発令され、発令を知らせるアナウンスが街中に響いたものでした。その後、規制が強化され企業が公害減少のための努力を進めたことで光化学スモッグは徐々に減少していきますが最近またその名を耳にすることが多くなりました。一体どうして今光化学スモッグが増えているのでしょうか。

光化学スモッグとは

光化学スモッグとは、大気中の窒素酸化物や炭化水素、有機化合物などが太陽光に含まれる紫外線と光化学反応を起こすことで生まれる光化学オキシダントによるスモッグです。この光化学スモッグの元となる窒素酸化物や炭化水素などは工場から排出されたり車の排気ガスに含まれていたりする成分で、光化学スモッグはこうした産業が生み出す公害だといえるのです。発生しやすいのは初夏から夏にかけてで、最高気温が25度を超えるようになると注意が必要になります。特に風があまりない日などは、大気中の化学物質が停滞しがちで、光化学スモッグが発生しやすいと言われています。風が強い日は、光化学スモッグの元になる化学物質も、化学変化により生まれた光化学オキシダントも風に流されて拡散しやすいのですが、風が弱い日はどうしてもそこに留まって濃度が高まってしまうのです。光化学オキシダントは濃度が低いと肉眼では見えませんが、濃くなると白く霞がかかったように見えるため光化学スモッグと呼ばれます。

東京都環境局HP
東京都環境局HP

光化学スモッグの歴史

光化学スモッグの歴史 光化学スモッグが1970年代にとても多く発生したのは高度成長期の日本で産業の急激な進歩が背景にあります。当時の日本は、公害や環境汚染などに関する意識よりも、とにかく産業の発展を急ぐ傾向がありました。1970年代に光化学スモッグの頻発や水俣病、四日市ぜんそくなど、工場の廃棄物などが原因となる公害が社会問題としていくつも取り上げられたことでようやく公害に対する意識も高まり、法整備が進められるなど規制も強化されていきます。そうして1980年代以降、徐々に光化学スモッグは減っていき、光化学スモッグ注意報が発令されることも少なくなりましたが、ここ数年再び光化学スモッグが増えており、夏になると注意報が発令されることもあります。

健康への影響

光化学スモッグが初めて注目を浴びたのは、1970年に校庭にいた学生が目の痛みや頭痛を訴えたことでした。光化学スモッグが引き起こす健康被害としては、目やのどの痛み、咳、吐き気、頭痛などが多数を占めます。特に喘息などの呼吸器系の疾患を持つ人は、症状が悪化する可能性があるので注意が必要です。光化学スモッグは、花粉や黄砂と違って気体ですので、マスクでは防ぐことができません。光化学スモッグ注意報が発令されたり、光化学スモッグらしき症状を感じたら屋内に入って窓やカーテンを閉め、外出を控えて体を休めるようにしたほうがよいでしょう。

光化学スモッグとPM2.5

最近増えてきたことでなんとなく並べて報道されがちの光化学スモッグとPM2.5ですが、この二つは決して同じものではありません。光化学オキシダントによるスモッグである光化学スモッグに対して、PM2.5というのはあくまで粒径の大きさを示す言葉ですから、成分は何であれ粒径がそれ以下の粒子はすべてPM2.5ということになるわけです。この二つ同時に扱われることが増えてきているのは、中国の大気汚染がその原因の一端であるという考えが共通しているためです。もちろんすべてが中国から飛来するものではありませんが、飛来しているものも含まれているのは確かですし、光化学スモッグもPM2.5も現在中国の大気汚染の原因として大変問題になっているものです。また、PM2.5の中には光化学スモッグの元となる成分も含まれているため、同じものではないにしても、関係がないとは言い切れません。どちらも大気汚染物質であることは同じですので、自治体の発表する予報や計測値には常に注意を払い、注意報が発令されたり数値が高い日には外出を控えるなどの対応をしていきましょう。