PM2.5と黄砂


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PM2.5と黄砂

PM2.5が注目を浴びる前から問題になっていたのが黄砂です。春先になると偏西風に乗って大陸から飛来する黄砂で遠くがぼんやりかすんで見えるという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。最近ではPM2.5と黄砂が同時に飛来することによる健康被害も問題になっており、以前よりも黄砂を気にする人も増えているようです。

気象庁HP 黄砂発生のメカニズム
気象庁HP 黄砂発生のメカニズム

黄砂とは

気象庁HP 黄砂粒子の顕微鏡写真気象庁HP 黄砂粒子の顕微鏡写真

日本の東に位置する中国大陸の内陸部には、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などいくつもの砂漠や乾燥地域があります。黄砂とは、そういった砂漠の砂が風で舞い上がり、偏西風に乗って日本にまで飛来したものです。距離にして1000km以上離れた遠い砂漠から飛んでくる砂の量は天候や風向きによってかなり違いはありますが、多い日は日本でもぼんやり遠くに霞がかかったように見えたりもします。また、気管支などに疾患を持つ人は喉に違和感を覚えたり咳が出やすくなったりもします。日によっては120μg/?程度の黄砂を日本で観測することがありますが、その場合、中国の都市部では1,400μg/?、黄砂の発生源となっている砂漠地域では90,000μg/?もの黄砂が大気中に漂っていると言われます。最近では報道でも中国都市部の黄砂の映像を目にすることも増えましたが、日本とは比較にならない量の黄砂に中国の国民も悩まされているのです。


黄砂の影響

気象庁HP 大黄砂時の北京気象庁HP 大黄砂時の北京

黄砂の粒径は4μm程度なので、花粉などに比べても小さく、なかなか目に見えるものではありません。かなり多く飛んでいる日に遠くを見るとなんとなくかすんで見える程度で、粒自体を見るのは難しいでしょう。しかし、飛来して日本に降り注いだ黄砂の細かい粒は車のボンネットをくすませ、家の中に入り込んで埃っぽくするなど影響がないわけではありません。また、人によっては喉に違和感を覚えたりアレルギーのような症状を訴えたりする場合もあります。白い洗濯物が薄汚れたようになったり、窓ガラスなどが汚れやすくなるのも黄砂の影響が指摘されています。このように、はっきり目に見えるわけではないけれども、黄砂はすこしずつ私たちの生活に忍び込んでくるのです。

黄砂とPM2.5

以前は黄砂というと、細かい天然の砂粒が飛来するようなイメージでしたが、最近では黄砂に化学物質がまとわりついて一緒に飛来することも問題になっています。つまり、黄砂が飛来するときに同時にPM2.5が大量に飛んでくるというのです。PM2.5の粒子はとても小さいために逆に極端に遠くまで飛ぶことはありません。日本でも西日本ではPM2.5の濃度が高まって問題になっていますが、東日本や北日本ではよほど風向きや風量などの条件が合わさらないと急激に大量のPM2.5が観測されるということはないようです。一方、黄砂はより粒が大きく質量もあるためにより遠くまで飛散する傾向があります。衛星による調査によると、黄砂は日本を超えて太平洋を横断し、北米にまで到達し、わずか2週間で地球を一周しているのです。飛来した黄砂の粒子の大半は石や泥の粒など鉱物になりますが、それ以外にもアンモニウムイオンや硫酸イオン、硝酸イオンなどの成分が含まれていることがわかっており、これらの成分は土壌由来のものではなく飛来するときに大気中の汚染物質と結合したものと考えられます。黄砂はそれ自体が気管支疾患の原因となったり目の痛みを引き起こすなどの健康被害の恐れがあるだけではなく、PM2.5などをより遠くまで運ぶことでも最近問題になっているのです。

黄砂への対策

黄砂については、かなり多くの自治体などで飛散予報が毎日発表されています。黄砂が多いと予報されている日には、外出を控えたり洗濯物を部屋干しにするなどの対策をとるようにします。外出が必要な場合は、マスクやメガネなどを着用することでかなり黄砂は防ぐことができるので、普段から用意しておくとよいでしょう。黄砂は偏西風が吹きやすい春に多く見られる現象です。花粉などのアレルギー物質の飛散も多い時期ですので、春に外出する場合は常にマスクなどを着用しておいた方が無難かもしれません。