中国のPM2.5対策


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中国のPM2.5対策

中国からのPM2.5が日本に飛来するということによって、中国の大気汚染が日本でも急に報道されるようになりましたが、それも最近急に始まった問題ではありません。特に大気汚染に関しては、生活資源として石炭を使う国民の生活に密接に関連していることから、解消するのがかなり難しい問題だとも考えられています。中国の公害とPM2.5対策はどのように考えればよいのでしょうか。

中国の大気汚染

中国の大気汚染 私たちは大気汚染というと、工場から立ち上る煙をイメージするでしょう。実際、現在の中国は日本の高度産業成長期に近い発展を遂げているため、工場の排気ガスとしてかなりの有害物質が廃棄されており、問題となっています。また、人口の多い中国ではそれだけ自動車の台数も多く、車の排気ガスが引き起こす大気汚染も少なくありません。燃料として使われるガソリンや石油の精度が低く異物が混入していたりすることも有毒ガスの排出の一端となっており、大気汚染を解消していくためには、こうした燃料のクオリティを上げることも必要です。

もうひとつ、中国特有の大気汚染源としては、国民が燃料として使う石炭があげられます。中国は世界でもトップの石炭産出量を誇っており、そのほとんどが国内で消費されています。中国では冬の暖房を石炭に頼る家庭が多く、特に冬季に使われる石炭は大量です。しかも、中国の石炭は硫黄含有量が多く、燃焼効率が悪いことから燃やした時に有毒ガスが発生しやすいのが現状で、こういった生活資源として使われる石炭が自動車の排気ガスと並んで都市部の大きな大気汚染源となっているのです。しかし大気汚染は問題となるものの、一般家庭で使われている暖房システムを入れ替えるのは難しいため、汚染物質の放出を食い止めるのが難しいのも現状です。

とはいえ、中国の大気汚染の数値はかなり高く、深刻な健康被害が懸念されています。中国各地では日常的に100を超えるPM2.5が観測されており、多い日は300を超える観測値が発表されています。日本で外出を控えるように勧告されるのが70ですから、その多さには驚かされるのではないでしょうか。実際に健康被害を訴える人も日に日に増えており、呼吸器の疾患に苦しむ人が多いだけではなく、ガンを発症する人が増えたというデータもあるのです。


中国の対策

中国の対策 中国政府もPM2.5をはじめとする大気汚染の解消は重要な問題だと考えており、現在その対策がとられつつあります。企業や工場などに対して汚染物質の排出量を規制する法律を実施したり、石油やガソリンなどの品質を改善するようにしていますが、すぐに成果を上げるのは難しいのが現状です。実際、現在中国で稼働している火力発電所の排出する有毒ガスは、日本の同規模の発電所が排出する量の10倍とも言われており、そういった施設や工場すべてがシステムを改善していくためにはコストも時間も必要になります。

他国との連携

現在、中国は他国とも連携して大気汚染などを改善していく取り組みも進めています。日本もかつて公害に悩まされた経験を持つ国として技術協力などを申し出ていますが、中国では反日感情が強いこともあってなかなか受け入れられていません。とはいえ、民間レベルでは日本の技術を取り入れる企業も増えており、徐々に中国の大気汚染の解消につながっていくことが期待されています。政府レベルでも、2013年5月に行われた日中韓3ヵ国の環境相会合により、実務者レベルによる情報交換や政策対話を行うことが話し合われ、今後の協力を強化することで合意しました。まだまだ発生メカニズムなども完全に解明されていないPM2.5を減らしていくためには、長期的な協力関係によって問題を解決していくことが必要だといえるでしょう。