PM2.5の成分


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PM2.5の成分

ニュースやワイドショーなどで耳にすることの多いPM2.5ですが、これが具体的にどのような物質を指しているのかを知っている人は意外と少ないものです。しかし端的に言うと、PM2.5とは特定の成分を指す言葉ではなく、粒子の大きさを示しているためその成分を一概に特定することはできません。成分が何であろうと、粒径が2.5μm以下の物質はPM2.5と呼ばれるわけで、大気中のPM2.5にしても地域や時期によって成分が違ってくるのは当然のことです。たとえば、日本の高度成長期にももちろん大量のPM2.5が大気汚染を引き起こして問題になったためそれ以降日本ではできるだけ汚染物質を大気中に放出しないように制度や技術の整備が行われてきました。その時のPM2.5と現在のPM2.5の成分にはあきらかに違いがあるのです。

PM2.5の定義

PM2.5とは、粒径が2.5μm以下の粒子のことであり、特定の成分を示すわけではありません。何の成分であろうと粒径がそれより小さければPM2.5と呼ばれるので、同じPM2.5でも発生する場所や時期などによって成分はかなり違ってきます。実際のところ、2.5μmと言われてもピンとこない人が多いかもしれませんが、大気中の浮遊成分の中でも2.5μm以下の粒子というとかなり小さい部類に入ります。たとえば、飛散が問題になっている花粉の粒子は10~30μm前後であり、直径だけでも約4倍以上ですからPM2.5に比べるとかなり大きいと言える粒子です。しかし、その花粉ですら肉眼では見えないのですから、PM2.5がいかに小さいかということがわかるでしょう。ちなみに髪の毛の太さは約70μmと言われますから、単純に計算して2.5μmだと髪の毛の太さの約1/28。小さすぎてイメージするのが難しいサイズですが、インフルエンザのウイルスは0.1μmですので、それに比べると大きいということができます。

東京都ホームページ
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PM2.5の成分

PM2.5の定義が大きさだけを示すものである以上、簡単にPM2.5の成分を特定するわけにはいかないのですが、最近問題となっているPM2.5にどのような成分が多く含まれているのかは、各所からデータが発表されています。観測地点によって多少違いはありますが、最も多く含まれているのが有機炭素(OC)と硫酸イオン(SO42-)であることが多く、この二つの成分だけで全体の半分近くを占めているところもあるようです。それ以外の成分としては、NO3イオン、NO4イオンなどが多く含まれます。有機炭素は有機物に含まれる炭素の総称ですから、その種類は非常に多く、普段から大気の中にかなり存在しているものです。問題となりやすいのは、自動車の排ガスに含まれる炭化水素が光化学反応によって光化学スモッグになったり、黒いススのような成分であったりして体にも害を及ぼすためでしょう。また、硫酸イオンは荷電している硫酸のことで、製造業にはなくてはならない成分であることから、日本や中国でも大量に生産されています。ただし、この硫酸イオンは酸性が非常に強い成分になりますので、濃度の高い硫酸イオンが流出したりした場合にはコンクリートやセメントなどが腐食する可能性も少なくありません。いずれにしても、それぞれの成分は産業の発達のためには必要な成分であるのですが、やはり大気中に飛散したり人体に取り込まれたりすることには問題のある成分ばかりです。

中央環境審議会大気環境部会(2009)「微小粒子状物質環境基準専門委員会報告(案)」
中央環境審議会大気環境部会(2009)「微小粒子状物質環境基準専門委員会報告(案)」

時期や地域によっても違う

PM2.5は成分の内容ではなく粒子の大きさのみを限定するため、その種類は時期や場所によってもさまざまです。工業地帯においては、どのような工場が近くにあるかによって大気中のPM2.5の成分比率はかなり違ってきますし、季節によって風向きや気圧が変化するため漂うPM2.5の量や濃度にも違いが現れます。日本でもPM2.5が問題になって以来、各自治体でPM2.5の量や成分などを随時測定してHPなどで公開されています。自分の住んでいる地域や今の時期にどのような成分が飛散しているのかを調べてみてはいかがでしょうか。