PM2.5が飛散する範囲


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PM2.5が飛散する範囲

PM2.5とは、粒径が2.5μm以下の小さな粒子のことです。最近中国からPM2.5が飛来すると報道されて話題になっていますが、飛散量が多いと言われる関西から北京まで約1000km。そんな距離を物質が飛んでくることがあるのでしょうか。

結論から言うと、PM2.5のような微細な粒子はこの程度の距離は余裕で飛んできます。関西はもちろん、風の強さや粒子の量によっては1500kmの距離を超えて北日本まで飛来することもあります。目に見えない成分だけによほどの量が飛来して靄がかかったようにならないと実感できなかったり、喉に違和感を感じて初めて存在を意識したりする人もいるかもしれませんが、実際に飛散しているということは確かなのです。

そらまめ君より
そらまめ君より

どうしてそんなに遠くから飛んでくるの?

多くの人が花粉症に悩まされるようになっていらい、スギ花粉の季節になるとスギの木から黄色い煙のように飛びだす花粉の映像をテレビで見かけるようになりました。スギ花粉症の症状を訴える人は日本中にいますが、実際に近所にスギの木があって、テレビで見るような黄色い花粉を肉眼で見たことがあるという人はあまりいないのではないでしょうか。報道で見る映像の多くは森林で撮影した物であり、それが何十キロもの距離を超えて都市部に飛散し、人々の花粉症を引き起こしているのです。その時には花粉の密度は飛びはじめた時よりも薄くなっているので、肉眼で黄色く見えることはありません。「今日は花粉が多い」と天気予報で言う日でも、大気が黄色く感じることはないでしょう。それでも花粉症の人はくしゃみが止まらないほどの花粉があたりには充満しているわけで、遠くから飛来する花粉の量はかなりのものだということがわかります。この花粉の粒径が約20μm。PM2.5に比べるとかなり大きい粒なのです。

そして、物質そのものの密度によっても異なりますが、多くの場合大きい物質のほうが重さは重たくなり、遠くまでは飛びにくくなります。たとえば、同じ力で投げるとして、ボーリングの球よりもゴルフボールのほうが遠くまで飛ばすことができます。しかし、軽ければ軽いほど遠くまで飛ぶかというとそういうわけでもなくて、ゴルフボールとピンポン玉であればゴルフボールのほうが遠くまで飛ぶのです。これは軽いピンポン玉が風の抵抗を受けやすいからです。PM2.5は基本的にはとても小さくて軽い粒子ですので、風の抵抗があれば全く飛ぶことはありませんが、軽すぎて風に乗ってどこまでも飛んでいくことができます。風向きによっては花粉よりもはるかに遠くまで飛ぶのはそのためです。


二次生成されることも飛散の理由

PM2.5は、粒子として排気ガスや工場から排出されるだけではなく、気体として放出されて物が大気中で化学変化を起こして粒子となることもあります。実際にはこの二次生成されたものが全体の6割を占めると言われているので、比率としては非常に大きくなるのです。これもPM2.5の飛散範囲が大きくなる原因の一つで、気体として放出された成分は風を受けてあっという間に大気中を移動します。そこで成分が変化して粒子となったものはそこからさらに飛び続けることになるので、スタートの地点が移動するということになるのです。しかも、PM2.5そのものを排出している場合は対策もとりやすいのですが、二次生成する場合は対策を取るのも難しく、どの気体がどのように化学変化を起こしているのかを突き止めないと根本的な対策は取りにくいのが現状です。

Wikipediaより「世界のPM2.5濃度の分布」
Wikipediaより「世界のPM2.5濃度の分布」

飛散範囲を毎日チェック

とはいえどこにPM2.5が飛散しているかは、気象庁や気象協会、各地の自治体が毎日計測を行っており、地球全体の風向きや中国における飛散量などからも予報が発表されているので事前にわからないわけではありません。最近でこそよほどの量が飛散しない限りテレビの天気予報などで言及されることは少なくなりましたが、それぞれのHPにはその日の飛散量や数日先までの飛散予報が掲載されています。携帯で簡単にチェックできるアプリもありますので、できれば朝出かける前にチェックして多い日はマスクをしたり外出を控えたりするなどの対応をしていきましょう。小さな子どもや気管支などに疾患を持つ人は特に注意することが必要です。報道が少なくなったからと言って、PM2.5が飛散していないわけではありませんので、各自がチェックして対策を取るようにすることが大切なのです。